カテゴリー: 歯科医師先生と歯科医院に関する会計と経理

人件費のポイント

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の経理や税務について解説します。

今回は、歯科医院における人件費のポイントについて説明したいと思います。

 

 

歯科医院の人件費

歯科医院の人件費は、歯科医院で発生する様々な費用の中でも、歯科材料や医薬品の仕入れ、歯科技工料の支払い、減価償却費などとともに割合が大きい費用になります。

 

 

人件費の範囲

人件費は、毎月のお給料やボーナスだけではありません。

歯科衛生士さんや窓口スタッフなどを雇用すると、次のような様々な費用が発生します。

  • 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の事業主負担分
  • 雇用保険の事業主負担分
  • 労災保険(事業主が全額負担)
  • 交通費、通勤手当
  • 福利厚生費
  • 退職金(中退共の掛け金など)など

1人雇うと、その人の年収(給与額面)だけが人件費として費用になるのではなく、その1.5倍くらいの費用が発生するということを覚えておいてください。

 

 

人件費は固定費

いったん正社員として雇用してしまうと、こちらから辞めてもらうのは難しくなってしまい、人件費が固定費化されます。

歯科医院の状況に合わせて柔軟に経営できるように、パートやアルバイトなど、人件費を変動費化することも検討されると良いと思います。

また、歯科衛生士については、紹介予定派遣を利用することも可能になっています。

歯科医衛生士の紹介予定派遣についてはこちら
歯科衛生士の派遣

 

 

歯科医院の人件費の割合

歯科医院における人件費の割合はどれくらいが良いのかは、歯科医院の状況によって様々ではありますが、歯科医院の収入の50%以内であれば問題ないと思います。

個人開業の歯科医院の場合は、会計上の人件費だけでなく、院長先生の取り分も含めて50%以内になっているかどうかで判断してください。

医療法人の場合は、院長先生の給料も経費として計上されているため、そのまま50%以内かどうか判断してください。

 

 

おわりに

税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございます。
歯科医師先生や歯科医院のお役に立てる情報があるかもしれないので、こちらの情報の一覧もご覧になってみてください。

東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。

賃貸借契約に伴う敷金,礼金,保証金,更新料の経理処理

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の経理や税務について解説します。

今回は、賃貸借契約に伴う敷金や礼金、保証金、更新料の経理処理について説明したいと思います。

 

 

賃貸借契約に伴う支出

歯科診療所を開業する形態としては、大きく次の2つに分けることができます。

  • 自己所有の物件で開業する
  • ビルなどのテナントに入居して開業する

都市部においてはテナントに入って開業する場合が多いと思いますが、その際はビル等の所有者と賃貸借契約を結ぶことになり、契約に伴い敷金や礼金、保証金、更新料などさまざまな支出が発生します。

これら賃貸借契約に伴って発生する支出については、すべてまとめて経理処理するのではなく、その種類に応じて個別に経理処理しなければなりません。

 

 

敷金や保証金

敷金や保証金などのうち、賃貸借契約の終了によって借主に戻ってくるお金で、借主から貸主に対して単に預けているカタチになっているものは、貸借対照表の投資その他の資産の「敷金」、「保証金」として計上します。いずれは返ってくるお金なので経費にすることはできません。

ただし、同じ敷金や保証金であっても、契約書に償却や敷引について明記されており、賃貸借契約の終了によって返還されない分がある場合、その返還されない分については、時の経過に応じて経費にすることができます。

 

 

礼金や更新料

礼金や更新料など、借主に返還されないものについては、

その金額が20万円未満である場合は、全額がその年の経費になります。礼金は「地代家賃」、更新料は「支払手数料」などの勘定科目を使います。

その金額が20万円以上である場合は、一度に全額を経費にすることはできません。いったん繰延資産(長期前払費用)として計上して、契約期間に応じて償却することで徐々に経費にしていきます。

 

 

おわりに

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歯科医院の開業前にかかった経費は開業費になります

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の経理や税務について解説します。

 

今回は、歯科医院の開業前にかかった経費である開業費について説明したいと思います。

開業費で効果的に節税する方法についてはこちら
開業費で節税

 

 

歯科医院の開業費とは

歯科医院を開業するにあたっては、様々な費用がかかります。

会計上は、歯科医院の開業日までに発生した費用で、開業のために直接的に要した費用のうち、その支出の効果が将来に渡って及ぶものは、損益計算書の経費とするのではなく、貸借対照表の繰延資産である「開業費」として経理処理します。

歯科医院の場合、診療を開始した日を開業日にすることが多いと思います。

 

 

開業費の具体例

開業費の具体例としては、開業日までに発生した次のような費用になります。

  • 物件選びのためのコンサル料や調査費、交通費、通信費など
  • 診療所物件の家賃やテナント料、仲介手数料
  • 開業をお知らせする挨拶状
  • ホームページの作成など、開業日までに特別に発生した広告宣伝費
  • 開業にあたって取引業者と親交を深めるための飲食代など

これらの費用は、開業費として経理処理を行いますが、通常の費用と同様に、支払日、支払先、支払金額、支払内容などを会計ソフトに入力するとともに、領収書などの取引を証明する証拠を残しておきましょう。

 

なお、次のような費用は開業費にはなりません。

  • 診療所物件の敷金(投資その他の資産)、礼金(繰延資産)、保証金(繰延資産)
  • 内装費や歯科ユニットチェア、PCなど固定資産に当たるもの(固定資産)
  • 歯科材料や医薬品(仕入、棚卸資産)

 

 

開業費の償却

開業費の償却費の計算については、次のいずれかの方法を選択します。
60か月の均等償却
任意償却

詳しくはこちら
開業費で節税

 

 

おわりに

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雑収入 医業収入以外の収入

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の経理や税務について解説します。

今回は、医業収入以外の収入である雑収入について説明したいと思います。

 

 

歯科医院の収入

歯科医院の収入は、次のように区分して経理処理します。

  • 保険診療収入 ( 医業収入 )
  • 自由診療収入 ( 医業収入 )
  • 雑収入 ( 医業外収入 )

 

雑収入とは

歯科医院における雑収入とは、歯科医業の活動に付随して発生した、医業収入以外の収入のことをいいます。

この雑収入についても、医業収入と同様に総収入金額に含めなければなりません。
税務調査で雑収入の計上漏れを指摘されることも少なくないので、忘れずに計上してくださいね。

 

 

雑収入の具体例

歯科医院で発生する雑収入の具体例としては、次のような収入があります。

  • 歯ブラシなど口腔ケア用品の販売代金
  • 歯科用金属の売却代金
  • 仕入先などから受け取るリベート
  • 患者さんから受け取る謝礼金
  • 患者さんを他の医院などに紹介した際に受け取る紹介料

 

上記の他、間違いやすいものに、開業祝いがあります。開業祝いとして受け取ったお祝い金や物品などは、歯科医業に付随して生じた収入にあたり、原則として、雑収入に含めなければなりません。

開業祝いについて詳しくはこちら
歯科医院開院時に受け取る開業祝いの税金

 

また、市区町村といった地方自治体から受け取る、休日夜間診療の手当、検診などの嘱託料などは、雑収入(事業所得)として計上する場合と、歯科医師先生個人の給与所得として計上する場合があるので注意してください。
大まかには、自分の歯科医院で診療を行う場合は雑収入(事業所得)、地方自治体が設置した施設で診療を行う場合は給与所得になります。

 

 

おわりに

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歯科医院の必要経費とは

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。

今回は、歯科医院の必要経費について説明したいと思います。

 

 

必要経費とは

歯科医院の医業所得などの事業所得は次のように計算します。

 

総収入金額 - 必要経費 = 事業所得

 

事業所得に税金がかかってくるので、事業所得が少なくなれば、すなわち必要経費が多ければ、それだけ税金が安くなることになります。

そのため、必要経費になるものは漏れなく計上することが節税につながります。

 

ここで必要経費とは、次のものをいいます。

  • 総収入金額に対応する売上原価や総収入金額を得るために直接要した費用
  • その年に生じた販売費、一般管理費、その他の業務上で発生した費用

 

上記のうち、その年の必要経費になる金額は、その年において債務の確定した金額です。

  • その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものは、その年の必要経費になりません。
  • 逆に、その年に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものは、その年の必要経費になります。

 

 

歯科医院の場合

歯科医院においては、

  • 歯科医業収入を得るために直接要した費用、
  • 歯科医業収入を得るためにその年に発生した販売費、
  • 歯科医院を維持管理するための一般管理費

などが医業所得を計算するうえでの必要経費になります。

 

具体的には、次のようなものが歯科医院の必要経費として計上されます。

  • 患者さんの治療で用いた医薬品や歯科材料代
  • 歯科技工士さんに支払う歯科技工料
  • 歯科チェアユニットや歯科医院内装などの減価償却費
  • 歯科医院の賃料やテナント料
  • 歯科医院の電気代、水道代、ガス代
  • 従業員に支払う給料やパート・アルバイト代

 

その他にも、電話代や交際費など、様々なものが、必要経費になります。

必要経費になるものは漏れなく集計することが節税になりますが、必要経費にならないものまで、例えばプライベートな飲食費などを、含めてしまうと脱税になってしまいます。

必要経費になるなならないかの判断が難しい支出も少なくないので、顧問の税理士に相談してくださいね。

 

 

おわりに

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歯科診療収入は発生主義で計上

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。

今回は、歯科診療収入などの売上や収入を計上するときの発生主義という考え方について説明したいと思います。

 

 

発生主義の考え方

会計や税務の世界においては、売上や収入を計上する時期については、発生主義という考え方を原則としています。

発生主義とは、
ある年の収入金額を、
その年に実際にお金を受け取った金額ではなく、
その年において「収入すべき権利の確定した金額」で計算する方法をいいます。

したがって、実際にお金を受け取ったかどうか、代金を請求したかどうかは、収入金額としてカウントするかどうかには関係しないのです。

 

例えば、

商品販売を行っている個人事業主が、その年の12月26日に商品を販売して、代金の入金は年を越した1月5日であった場合には、商品を販売した12月26日の収入として計上して、入金のあった1月5日の収入にはしないということになります。

  • 12月26日に収入(売上)の計上と売上債権の計上
  • 1月5日に売上債権の回収と入金

 

対して、

現金主義とは、現金を受け取った時点で収入に計上する考え方です。家計簿やどんぶり勘定といわれる方法は現金主義によっています。

上記の例では、入金のあった1月5日に収入として計上します。

  • 12月26日には経理処理はなにもしない
  • 1月5日に収入(売上)の計上と入金

 

 

歯科医院の場合

歯科医院においても、この発生主義によって診療収入などを計上することが原則になります。

保険請求の入金があった時点で診療収入を計上するのではなく、
診療を行って治療代を請求する権利が確定した時点で診療収入を計上します。

 

歯科医院の経理実務においては、
窓口入金分については、日計表などを用いて毎日の現金入金を、社保収入、国保収入、自由診療などに区分集計して計上します。
保険請求分については、毎日計上するのではなく、1ヶ月分をまとめて月末に計上するのが一般的です。

 

治療が長期間にわたる歯列矯正については下記を参照ください。
歯列矯正の収入はいつ計上すればいいのか

 

 

おわりに

このように、経理(会計や税金)では発生主義で考えますが、資金繰りやキャッシュ・フローでは現金主義で考えます。どちらが優れているというわけではなく、どちらも歯科医院の経営には無くてはならない考え方になります。

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プライベートな支出が含まれる家事関連費の処理 | 個人開業医

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。

 

今回は、個人開業の歯科医院において、プライベートな支出と業務上の支出の両方が含まれる家事関連費の処理について説明したいと思います。

仕事とプライベートの会計上の区分についてはこちらも参照ください。
事業主貸と事業主借とは | 仕事とプライベートを区別しよう

 

 

家事上の費用

家事上の費用とは、家庭内の事柄に関する費用、プライベートな支出のことをいいます。
この家事上の費用は、必要経費になりません。

家事上の費用の例としては次のようなものがあります。

  • 食費や洋服代などの家事上の費用
  • 診療所兼住宅について支払った家賃や火災保険料、固定資産税、修繕費などのうち、住宅部分に対応する費用
  • 水道料や電気料、燃料費などに含まれている家事分の費用

必要経費の中に、家事上の費用が含まれている場合には、これを除外します。

 

 

家事関連費

個人事業主としての個人開業の歯科医院の業務においては、1つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用となるものがあります。交際費や家賃、水道光熱費など、これらプライベートな支出と業務上の支出が混ざっているものを家事関連費といいます。

家事関連費のうち、必要経費にすることができるのは次の金額です。

 

白色申告者の場合
家事関連費の主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、業務に必要である部分を明らかに区分することができる場合のその区分できる金額

 

青色申告者の場合
取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分することができる場合のその区分できる金額

例えば、次のように家事上の費用(必要経費にならない)と、事業用の費用(必要経費になる)に按分します。

  • 自動車の減価償却費やガソリン代は、使用割合に応じて按分
  • 水道光熱費や電話代も、使用割合に応じて按分
  • 家賃は、面積に応じて按分

 

 

おわりに

プライベートな支出である家事上の費用は必要経費になりませんが、必要経費にすることができる家事関連費を探して、しっかり節税してくださいね。

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事業主貸と事業主借とは | 仕事とプライベートを区別しよう

はじめに

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歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。

今回は、個人開業の歯科医院に特有の経理処理で、仕事とプライベートを区別するための「事業主貸」と「事業主借」について説明したいと思います。

 

 

事業主貸と事業主借

「事業主貸」と「事業主借」とは、個人事業主(個人開業の歯科医院)に特有な、会計における勘定科目で、

  • 事業資金(事業に関連する入出金)
  • 生活資金(事業に関連しない私的な入出金)

との間の貸し借りを会計帳簿に記録するための勘定科目です。

「事業主貸」と「事業主借」をつかって、歯科医院のおサイフと、歯科医師先生個人のプライベートのおサイフとの間のお金のやりとりを記録することになります。

 

 

事業主貸とは

「事業主貸」とは、
事業の資産(歯科医院の事業用のおサイフ)から、個人の資産(歯科医師先生個人のおサイフ)に、現金や預金などが移動したときに使われる勘定科目になります。

 

例えば、次のような場合に「事業主貸勘定」を使います。

事業用の普通預金から、今月分の生活費として50万円を引き出した。

借方 貸方
事業主貸 500,000円 普通預金 500,000円

 

事業用のおサイフ(現金)から、私的な飲食代1万円を支払った。

借方 貸方
事業主貸 10,000円 現金 10,000円

 

事業主借とは

「事業主借」とは、

個人の資産(歯科医師先生個人のおサイフ)から、事業の資産(歯科医院の事業用のおサイフ)に現金や預金などが移動したときに使われる勘定科目になります。

 

例えば、次のような場合に「事業主借勘定」を使います。

事業用の資金が少なくなってきたので、個人の生活用の預金口座から、事業用の預金口座に20万円を振り込んだ。

借方 貸方
普通預金 200,000円 事業主借 200,000円

 

事業用のおサイフを持ち歩いていなかったため、個人用のおサイフから、事業に使う文房具を1,000円分購入した。

借方 貸方
事務用消耗品費 1,000円 事業主借 1,000円

 

 

事業主貸と事業主借の決算処理

確定申告のために、事業主貸と事業主借について、次のような決算処理を行います。

 

12月31日時点の事業主貸と事業主借を相殺します。
(例えば、事業主貸100、事業主借70の残高があったとしたら、相殺後は事業主貸30になります。)

 

事業主貸と事業主借を相殺した後に、

  • 事業主貸が残った場合は、相殺後の事業主貸を元入金からマイナスします。
  • 事業主借が残った場合は、相殺後の事業主借を元入金にプラスします。

 

このようにして、最終的には事業主貸と事業主借の残高をゼロにして、確定申告を行います。

 

 

おわりに

事業主貸と事業主借を使って、事業とプライベートをしっかりと区別することは、個人事業主の第一歩です。この入出金は事業なのか、それともプライベートなのか、ということを常に意識して会計処理を行ってくださいね。

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棚卸資産の概要

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科医院の会計や税金について解説します。

今回は、歯科医院の棚卸資産について説明したいと思います。

 

 

歯科医院の棚卸資産

歯科医院の棚卸資産とは、患者さんの治療のために持っている歯科材料や薬品などのことをいいます。

棚卸資産の具体例としては次のようなものがあります。

  • 医薬品
  • 印象材
  • セメント
  • フィルム
  • 石膏・ワックス
  • ポーセレン・歯科用金属
  • ガーゼ・コットンなどの衛生用品

上記のような医薬品や歯科材料だけでなく、切手や印紙といった貯蔵品、未使用の事務用品などの消耗品なども棚卸資産に該当します。

また、棚卸資産は在庫とも言われることがあります。

 

 

棚卸資産の金額

棚卸資産の金額は、期末日(個人開業の歯科医院の場合は12月31日、医療法人の場合は決算日)時点における「数量」に「単価」を乗じて計算されます。

棚卸資産 = 数量 × 単価

そして、この計算された金額が貸借対照表に棚卸資産として計上されます。

棚卸資産の金額が変わると利益の金額も変わってくるので、棚卸資産の計算はとても重要な手続きになります。

 

 

数量は実地棚卸で算定

棚卸資産の数量は、実際に数えることで算定します。これを実地棚卸といいます。
1つ1つ数えるのは面倒な作業ですが、過不足の確認だけでなく在庫の管理状態なども把握できるため、実地棚卸は決算手続きとして欠かせないものになります。

歯科医院の外で保管しているものなどは、実地棚卸から漏れてしまうことがあるので注意してください。

 

 

単価は最終仕入原価法で算定

棚卸資産の単価の算定方法はいくつかありますが、税務署に特に届け出を行っていない場合は、「最終仕入原価法」で単価を算定します。

「最終仕入原価法」とは、期末日から最も近い時に購入した価額を単価として用いる方法をいいます。

簡単に計算できるので、多くの歯科医院で採用されている単価の算定方法になります。

 

 

おわりに

税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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海外出張のための旅費の経理処理

はじめに

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今回は、歯科医師先生が国外の学会に参加するために海外出張した場合、その出張費用や旅行代金の経理処理について説明したいと思います。

 

 

海外出張のための出張費用・旅行代金

歯科医師先生が国外で開催される学会や国際会議に参加したり、海外視察などを行うために海外出張した場合は、その海外出張が医院運営を行うために必要なものであるのであれば、飛行機代や現地での宿泊代などの海外出張費用・旅行代金は、事業の経費として、個人開業の歯科医師先生の必要経費、医療法人の損金になります。

 

 

業務従事割合

経費にできる海外出張費用・旅行代金を計算するためには、業務従事割合を計算する必要があります。

業務従事割合を計算するために、海外出張の日程を次の4つに区分します。

  • 業務(に従事したと認められる)日数
  • 観光(を行ったと認められる)日数
  • 旅行日数(目的地までの往復及び移動に要した日数)
  • その他(旅行日を除く土曜日、日曜日等の休日の日数)

業務従事割合は次の算式で計算します。

業務従事割合 = 業務日数 / ( 業務日数 + 観光日数 )

 

 

経費にできる海外出張費用・旅行代金

経費にできる海外出張費用・旅行代金は、上記で計算した事業従事割合に応じて次のようになります。

 

業務従事割合が90%以上になる場合

業務従事割合が90%以上になる場合は、海外出張費用・旅行代金として通常必要であると認められる費用は、その全額が事業の経費として、個人開業の歯科医師先生の必要経費、医療法人の損金になります。

 

業務従事割合が10%以下になる場合

業務従事割合が10%以下になる場合は、海外出張費用・旅行代金の全額を経費にすることができません。経費にできる金額はゼロ円になります。

 

業務従事割合が10%超90%未満になる場合

業務従事割合が10%超90%未満になる場合は、海外出張費用・旅行代金として通常必要であると認められる費用に業務従事割合を乗じた金額が、事業の経費として、個人開業の歯科医師先生の必要経費、医療法人の損金になります。

なお、海外出張が業務遂行上直接必要であると認められる場合で、かつ業務従事割合が50%以上の場合は、往復の交通費については、全額が事業の経費になります。

 

 

おわりに

国外との取引が盛んで海外出張が日常的な会社ならともかく、歯科医院の海外出張ともなると、税務調査において必ず調査されるといっても過言ではありません。関連書類を残しておくことはもちろんのこと、その海外出張がいかに業務に必要なものであるのかを説得力を持って説明できるように準備をしてくださいね。

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