医療法人を設立した場合の個人事業当時の従業員の退職金の取扱い

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

東京の歯科医師先生と歯科医院を支援する公認会計士・税理士が税金や節税について解説します。

今回は、医療法人を設立した場合の個人事業当時の従業員の退職金の取扱いについて説明したいと思います。

 

 

個人歯科医院から医療法人へ

個人で経営していた歯科医院を医療法人化して、従業員を引き続き雇用している場合、その従業員が退職した際に支払う退職金を計算する基礎となる勤続年数はどうなるのでしょうか。

 

原則としては、個人の歯科医院と新たに設立された医療法人は別組織であるため、個人歯科医院を廃業した時点で従業員はいったん退職して個人事業主として歯科医師先生個人が退職金を支払って、新たに設立した医療法人で再雇用することになります。

 

個人歯科医院を廃業した時点で退職金を支払わないで、医療法人化してからの従業員の退職時に個人歯科医院の期間も合わせて退職金を支払う場合は、個人事業主時代の負担分と医療法人設立後の医療法人負担分に分けて、個人負担分は個人の必要経費、医療法人負担分
は法人の損金として処理します。

 

しかし、その従業員の退職が医療法人を設立して相当の期間(だいたい5年程度)が経過した後に行われた場合は、支払った退職金全額を法人の損金にすることができます(もちろん、全額を法人の損金にした場合は、個人の必要経費にできる金額はありません)。

 

 

全額を法人の損金にする場合の注意点

退職金の全額を法人の損金にする(個人歯科医院当時の勤続年数を合算する)場合のおもな注意点は下記のとおりです。

上記のとおり、医療法人設立後おおむね5年程度が経過した後に退職した従業員に支払った退職金でないと全額を法人の損金にすることはできません。

また、医療法人の退職給与規程などに個人歯科医院当時からの期間を含めた勤続期間を基礎として退職金を計算する旨が定められており、それに従って計算した退職金を支払うのであれば、原則として、個人事業当時の勤続期間を含めて勤続年数を計算することができます。

なお、退職した者が青色事業専従者の場合は、あくまでも医療法人設立から退職するまでの期間が勤続年数になります。他の従業員と異なり個人の歯科医院当時の勤務期間については退職金を支払うことはできません。

 

 

おわりに

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。