流動比率とは | 歯科医院の安全性分析-5

はじめに

こんにちは、東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤です。

歯科医院を支援する公認会計士・税理士が歯科診療所経営のための財務分析について解説します。

今回は、短期的な支払い能力の指標である流動比率について説明したいと思います。

 

 

流動比率とは

流動比率とは、流動負債に対して、流動資産がどのくらいあるかを表すもので、短期的な支払い能力の指標になります。

 

流動比率は次の式で計算します。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債

流動資産 ( 1年以内に現金化される資産 )
現金、預金、医業未収金、在庫・棚卸資産(歯科用材料や医薬品など)、短期貸付金、前払金、前払費用、立替金、仮払金など

流動負債 ( 1年以内に支払期限がくる負債 )
支払手形、買掛金、短期借入金、未払金、未払費用、前受金、預り金など

 

流動比率が高いほど、短期的に支払わなければならない負債に充てることができる資産が多くあることを意味しており、財務安全性が高いといえます。

流動比率は200%以上、すなわち短期的に支払わなければならない負債に対して、その2倍の短期的に現金化される資産がある状態が望ましいです。

流動比率が100%未満の場合は、短期的に現金化される資産だけでは短期的に支払わなければならない負債をまかなうことができない状態で、資金繰りが非常に厳しい状態であるといえます。

 

歯科医院においては、流動比率が150%程度あれば問題ないでしょう。
ただし、会計帳簿上の流動資産が多くあったとしても、回収が遅れている医業未収金や滞留している歯科材料や医薬品などがある場合など、実際には短期的に現金化されない流動資産が含まれている場合は、その分だけ資金繰りが厳しくなるので注意して下さい。資産がどれだけあるかだけでなく、その資産の中身、状況を把握しておくことも大切になります。

 

 

流動比率と当座比率の違い

流動比率と同様に短期的な支払い能力を分析するための指標に当座比率という指標があります。

流動比率 = 流動資産 / 流動負債
当座比率 = 当座資産 / 流動負債

この算式のとおり流動比率と当座比率の違いは、分子が流動資産なのか当座資産なのかの違いになります。

 

流動資産のうち換金性が高い資産が当座資産になるので、金額の大きさは

当座資産 < 流動資産

になります。

当座比率は流動比率と比べて、より厳しめに短期的な支払い能力をみる指標であるといえます。

 

当座比率についてはこちら
当座比率とは | 歯科医院の安全性分析-6

 

 

おわりに

公認会計士資格を持つ税理士をお探しの歯科医師先生や歯科医院・医療法人の方がいらっしゃいましたら、東京都港区にある税理士法人インテグリティにお声がけください。歯科医院特有の会計や税金だけでなく、ビジネスやファイナンスにも強い公認会計士・税理士が、歯科医院が持続的に成長するお手伝いをさせて頂きます。

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東京都港区の税理士法人インテグリティ、公認会計士・税理士の佐藤でした。